研究概要 |
多様体の幾何学的な対称性は多様体上の群作用によって表される.この多様体上の群作用の存在判定に多様体上の同変楕円型作用素,すなわち,群作用と可換な楕円型作用素の同変行列式を用いるという全く新しい方法を発見した.この結果は K.Tsuboi, The finite group action and the equivariant determinant of elliptic Operators, J.Math.Soc, Japan, vol.57(2005),95-113 に掲載された.また,群作用が存在する場合の回転角等の具体的な群作用に関する情報が上記の同変行列式から得られる事がわかった.これより,例えば「種数9のリーマン面に7次の巡回群が作用する場合,その回転角は6通り有るが,7次の巡回群作用が二面体群の作用に拡張されるなら回転角は唯一通りしかない.」といったような結果が得られる。この結果については現在論文を作成中である. さらに多様体の対称性の1つの尺度としてスカラー曲率があるが,複素多様体上の定スカラー曲率ケーラー計量の存在に対するBando-Calabi-Futakiの位相不変量を用いて,定スカラー曲率ケーラー計量を持つ複素多様体上のS^1作用の回転角に関する制約条件を得た.この結果はK.Tsuboi, A fixed point formula for O-psudofree S^1-actions on Kahler manifolds of constant scalar curvatureとして論文にまとめた.この論文は近々投稿予定である.
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