研究概要 |
本研究の基本的態度:(a)自然界及び工学の世界で未だ十分数値計算の対象とされないが重要な対象を扱う,(b)応用数学の分野で有効なスキームを確立する,(c)数学で保障されるスキームをつくる.以下対象毎にその成果を簡単に記する.1)均質流体及び多流体問題解法のスキームの開発と研究 2)弾性問題及び弾性波の研究なる対象がある. 3)数値スキーム基礎 である.以下各論を述べる. 1)に関して 均質均質流体における弾性体の最適形状スキームに対して成果を得た(畔上秀幸(a)).関連研究はピロノー(仏)の研究があり,本邦で発展の契機が始まる.多流体問題の数学解析の保障があるスキームは過去30年余見当たらない((a)に対応する).ここまでの2年で九州大学・田端正久氏の協力の下に,数学の保障があるスキームが確立でき,論文準備中である.このスキームに対して,手数を大幅に低減するスキームとして計算機上実装され,重力に伴う密度不安定性の数値実験を成功裏に行った(藤間).これは大規模問題への適用に道を開いた((c))に対応する). 2)に関して 大変形する弾性体に対して外力の仕事量最小とする最適形状スキーム,大変形弾性体及び熱応力と弾性体の最適形状を求めるスキームを与えることができた(畔上・片峰(a)).弾性波の漸近展開が境界での反射の際に受ける変化及び障害物による弾性波の漸近展開が散乱前と後で受ける変形を厳密に明示した(曽我(C)). 3) 任意精度の数値解法を、任意多培長,任意多点差分法に注目し,ラプラス方程式のコーシー問題と,時間逆向き熱伝導問題へ応用し,その手法の見通しを得て,流体への連成系への発展を考えている(大西(b)) 計画の中年度として一応の結果を得たと考えている.最後の年度に対しより力を発揮したい.
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