研究概要 |
1.リムCMEの放出の少ない時期の惑星間空間磁場は、太陽自転の4分の1周期離れた地球から観測した結果と比べても再現性が良いのに対し、太陽のリムからCME放出が続く時期に入ると、1)離れた経度での磁場観測の再現性が無くなり、2)不連続的な変化が良く見られ、3)磁場の南北成分が卓越する、といった特徴が見られた。このような特徴をもつ磁場を、CMEの惑星間空間における対応物の目印として使うことができる。 2.1999年4月16-18日に探査機「のぞみ」と「ACE」が太陽中心距離の差約0.2AU、太陽中心経度差3度で観測した磁場は、それまでよく一致していたにも関わらず、4月13日に放出されたCMEに伴い,南北成分が逆の磁場を観測した。このCMEでは方向の異なるフィラメント状の磁力線がいくつも放出されていたと考えられる。 3.Gopalswamy et al.(2000,2001)によって示されたCMEの初速度と加速度との線形の関係より、太陽近傍における「背景の」太陽風速を推定できることがわかった。1999年5月から12月までの期間のSOHO/LASCO CME Catalogue中の低緯度のCMEについて、27日ごとにCMEの初速度と初期の加速度の回帰直線を求めた結果、相関係数が-0.6から-1.0の範囲になった場合に限定すれば、270-450km/sの範囲「背景の」太陽風速が得られた。この範囲は実際に検出される太陽風速とおおよそ合っているが、個々の時期の太陽風観測とは必ずしも一致していない。
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