研究課題/領域番号 |
14540458
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研究機関 | 特別認可法人海洋科学技術センター |
研究代表者 |
原田 尚美 海洋科学技術センター, むつ研究所, 研究員 (70344281)
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研究分担者 |
内田 昌男 海洋科学技術センター, むつ研究所, 研究員 (50344289)
木元 克典 海洋科学技術センター, むつ研究所, 研究員 (40359162)
阿波根 直一 海洋科学技術センター, むつ研究所, 研究員 (30359161)
浅原 良浩 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助手 (10281065)
山崎 俊嗣 産業技術総合研究所, 海洋資源環境研究部門, 主任研究員 (80344125)
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キーワード | 南北両大陸 / 古水温 / 基礎生産量 / アルケノン / 有孔虫化石 / 古地磁気 / 風成塵 |
研究概要 |
表層水温変化 今年度は、北半球高緯度域のおおまかな解析として北西部北太平洋亜寒帯域の過去40万年分の浮遊性有孔虫殻中の酸素同位体比、水温指標性化合物のアルケノンの分析結果を得た。現在の極前線付近に位置している堆積物の結果によると、アルケノン水温(表層20mの夏場の水温)は25万年前後で大きく変化し、最終氷期のこの海域は極前線の南下あるいは亜熱帯水の北上および高気圧セルの北上による温暖な空気の北上といった、現在の表層水塊系あるいは、大気系が南方向に移動していたことが示唆される。25万年以降の特徴は、徐々に水温が低下し、最終最寒期(約2万年前)には3〜4℃と非常に低い水温を示した。一方、25万年前は現在よりも暖かい水温で覆われており、特に31〜38万年前には最高で17℃とかなり暖かく、この時代亜熱帯の特徴を持つ水塊がこの海域まで覆っていた可能性がある。寒暖の変化は酸素同位体比とほぼ同期し、地球規模の気候変動に起因するものと考えられる。一方、オホーツク海周辺海域では、過去16000年以前の最終最寒期でアルケノン自体が検出されなかった。アルケノン合成藻類は海氷の存在下では十分に生息できない。従って、アルケノンの検出限界以下とは、オホーツク海の全域とクリル諸島の太平洋側がこの時期氷で覆われていたことを意味する。また、15000年から14000年の融氷期には2度以上上昇し、水温の温暖化は数百年から1000年という短期間に急激に生じていた事がわかった。 生物生産量変化 有機炭素沈積量は、ほぼ氷期-間氷期変動に伴って変化していた。最終氷期と現在との有機炭素沈積量の差を基礎生産量として比較した結果、外洋では、氷期の方でやや生産量が高くなっていた。従って、氷期のほうが、海洋の二酸化炭素吸収(固定)能力は高いといえる。生産量は亜熱帯域に比べ亜寒帯域およびオホーツク海で大きい上、同時期にIRDも検出されていることから季節的な海氷の発達とその崩壊による、砕屑物からのミネラルの供給が生産性を上昇させた可能性がある。一方、オホーツク海では氷期と間氷期とで有機物フラックスは変わらなかった。
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