研究課題/領域番号 |
14570528
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
原田 大 久留米大学, 医学部, 講師 (00241175)
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研究分担者 |
中村 徹 久留米大学, 医学部, 助手 (30341332)
古賀 浩徳 久留米大学, 医学部, 助手 (90268855)
鳥村 拓司 久留米大学, 医学部, 助教授 (60197986)
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キーワード | 中間系線維 / マロリー体 / aggresome / プロテアソームゴルジ装置 |
研究概要 |
真核細胞において蛋白は遺伝子の転写、翻訳によりポリペプチドとして形成された後に三次元的立体構造をとる(folding)。様々な原因により正しくfoldingされない異常蛋白が産生されるが、これらはプロテアソームにおいて分解を受ける。異常蛋白の産生が細胞の分解能を越えると細胞内にaggresomeと呼ばれる中間径線維(IF)の関与する凝集体(inclusion body=IC)が形成される。ウイルソン病変異蛋白を発現させた細胞でも変異蛋白とIFからなる凝集体が形成される。しかし、ICの細胞生物学的な意義は明らかではない。我々は二種の方法でICを形成させ、IFと細胞内小器官の形態を共焦点レーザー顕微鏡で観察、さらに電子顕微鏡(TEM)を用いて超微形態を観察した。培養細胞へプロテアソーム阻害剤(ALLN)を24時間作用させると細胞にICが形成され、IFのnetworkが消失した。 TEMではこの構造は膜を有さず、線維成分に囲まれ、電子密度の高い沈着物を含む構造物として観察された。また細胞に変異CKを遺伝子導入すると同様のICが形成された。これらの細胞ではゴルジ局在蛋白が細胞内に点在して観察された。ALLN添加後、ALLNを除去して培養するとICは消失し、IFのnetworkとゴルジ装置の形態が回復していた。TEMによる観察では多くのautophagic vacuoleやライソゾームが観察された。プロテアソーム機能の阻害によりマロリー体類似のICが形成され、それらの細胞ではゴルジ装置の形態に変化を認め、その機能に影響が及んでいると推測された。プロテアソーム機能の回復によりICは可逆性に消失し、その除去にはautophagyを介した処理機構が関与していると考えられた。変異CK導入細胞においても同様の現象がみられ、これらの影響はIFの変化を介したものと考えられた。
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