多重債務者の家計破綻原因の究明と債務者救済方法に関する米国における事前調査を行い、以下の点が判明した。 経済不況の環境下で、多重債務者は米国においても増加傾向にある。今回のアイオワ州立大学でのヒラ教授からのヒアリングおよび、シカゴ連邦管財人事務所、シカゴCCS教育担当からの情報収集によってこのことは明らかとなった。また、多重債務者に対するカウンセリングが重視され、検討の進む連邦破産法の改正においてもクレジットカウンセリング前置主義が採用される見通しのなかで、ビジネスとしての債務者カウンセリングを行おうとする業者が次々と現れている状況が見られた。 一方、NEFE(個人金融管理教育協会)は生活設計を軸とじた高校レベルのパーソナルファイナンス教育を展開し、一定の評価を得ている状況も把握できた。債務者救済としてのクレジットカウンセリングと、事前教育としてのクレジットを含む総合的金融教育の必要性が改めて確認された。 また、2002年8月より多重債務者問題研究会を発足させ、研究者のほか司法書士、消費生活アドバイザー、消費生活相談員、NPO関係者、業界関係者による家計破綻にいたる原因究明と救済の方法のあり方をめぐる勉強会を定例開催している。 本研究は3カ年にわたる継続的研究のため、正式な成果の公表は16年度の研究終了の後になる予定である。
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