14年度に引き続き、多重債務者の生活再建支援のあり方に関する研究を行った。 昨年夏に発足させた多重債務者問題研究会を継続させ、社会福祉士の行う援助との相互協力の可能性を探り、また、消費生活センター相談員の行う相談業務との関連を検討した。同研究会では、多重債務の相談体制と生活支援に関する行政等への意見書を16年度の早い時期に公表する予定である。 10月には本研究の協力者であるアイオワ州立大学ヒラ教授を招き、クレジットカウンセリングセミナーの開催に協力し、関係者の交流を図った。 また、11月には米国出張を行い、AFCPE(全米金銭管理カウンセリング計画教育学会)の20周年記念大会に出席し、米国における生活再建支援の実情に関する多くの報告を聞くことができた。今回の学会参加では、学会認定のファインシャルカウンセラーが債務者の家計管理支援を行っている現状を把握できた。同時に、NFCC(全米クレジットカウンセリング協会)および、若年層の金融教育の中軸となっているジャンプスタート本部を訪問しヒアリングを行った。米国の債務者生活再建支援では、それをビジネスチャンスとする営利目的のカウンセリング団体も活動の幅を広げており、消費者団体から問題視されていることがわかった。一方で、多重債務者を発生させないための堅実な家計管理を促す金融教育も、中高生に向けて活発になっている状況を垣間見ることもできた。 来年度が本研究の最終年度となるので、一連の成果公表は16年度に行う予定である。
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