わが国では近年、家計の債務化が急速に進み、家計支出の4分の一以上を消費者信用への返済に充てている。長い不況下で、2003年には個人破産が24万人を超えるにいたった。しかし、破産をしても生活全般の改善が見られない人も多く、家計改善の支援と精神的なサポートの両方が必要になっている。 本研究者はこの問題に取り組むにあたって、アメリカにおける消費者破産の状況と債務者カウンセリングおよび債務者教育を調査した。アメリカでは消費者破産の乱用が問題となっており、カウンセリングや教育を通じて生活再建を推奨するための政策が検討され、ついに本年連邦破産法の改正が議会を通過した。 本研究者は米国調査を通じて、日本で今後必要となるであろう4つの施策を提言した。 1 債務者のための利用しやすい相談窓口を整備する。 2 緊急に必要な小口貸付を、社会福祉の観点から利用しやすいように制度改善を行う。 3 生活支援アドバイザーを養成し、全国に配置する。 4 子どもの頃からの金銭管理教育を推進する。
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