研究概要 |
本年度は,小学生375名と中学生668名を対象に日常ストレスと対処行動との関連を追究した。小学生の日常ストレスでは「友達とうまくいかなかった」が最も多く,性別の比較では男子では「試験や試合などで失敗した」,女子では「友達とうまくいかなかった」が多く,影響が大きかった出来事は「誰かにひどくいじめられた」であった。また,小学生の対処行動では「信頼できる人に相談する」が最も多く,以下「困難に立ち向かい努力して乗り越える」,「勉強や趣味に集中する」が続き,上位には積極的対処行動が多くみられた。男女ともストレス個数ならびにストレス得点が高<なるほど消極的対処行動が多かった。 中学生の日常ストレスでは「自分の学校の成績のことで悩んだ」が最も多く,以下,「急にたくさんやらなければならないことができた」,「自分のイヤなことをしなければならなかった」が続き,影響が大きかった出来事は「自分の大切なものを失ってしまった」であった。中学生の対処行動では「信頼できる人に相談する」が最も多く,以下,「勉強や趣味に集中する」,「困難に立ち向かい努力して乗り越える」が続き,上位には積極的対処行動が続いた。男女ともストレス個数ならびにストレス得点が高くなるほど消極的対処行動が多かった。 以上の結果が示すように,小中学生は日常生活において多様なストレスに曝されているが,結構うまく対処してことが窺えた。中には消極的対処行動に頼っている子どもがいることから,積極的対処行動に着眼した健康教育を行い,子どもたちのストレス低減を図ることが急務であることが示唆された。
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