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2002 年度 実績報告書

中国語系日本語学習者の漢字の意味的ネットワークと漢字熟語の習得

研究課題

研究課題/領域番号 14580333
研究機関広島大学

研究代表者

玉岡 賀津雄  広島大学, 留学生センター, 教授 (70227263)

研究分担者 牧岡 省吾  大阪女子大学, 人文社会学部, 助教授 (60264785)
松下 達彦  桜美林大学, 国際教育センター, 助教授 (00255259)
キーワード漢字の意味的ネットワーク / 漢字熟語の産出 / 漢字形態素 / 音韻・書字・意味 / 母語の干渉 / 中国語系日本語学習者
研究概要

漢字を単位とした意味的ネットワークが,漢字熟語の理解に影響していることが知られている(Tamaoka&Hatsuzuka,1998;玉岡・初塚,1995).そこで,従来の漢字データベース(Tamaoka, Kirsner, Yanase, Miyaoka, & Kawakami,2002)を発展させて,各常用漢字について,どれくらいの熟語を形成するかという「生産性(productivity)」という指標,どれくらい特定の熟語で使用されるかを示す「一貫性(consistency)」という指標,エントロピー(entropy)として知られている「規則性」(あるいは「不規則性」)の指標を算出して,漢字データベース第3版(玉岡・牧岡,2003)を作成した.このデータベースは,www.iie.hiroshima-u.ac.jp/center/tamaoka/down.htmから誰でもダウンロードできるようにした.また,漢字は音・訓読みと意味とが複雑に結合している.そこで,音・訓読みを決める漢字の特徴を明らかにする解析を,漢字データベースを使って行った(Tamaoka, accepted).漢字の書き誤りについては(Hatta, Kawakami & Tamaoka, in press),日本語母語話者が同音異義語の誤りが多いのに対して,日本語学習の初期段階では書字的な誤りが多かった.音韻,書字,意味の漢字の特徴の影響がそれぞれに独立してあることも証明した(Morita & Tamaoka,2002).日本語の漢字は,訓読みにおいて1拍から4拍くらいまでの長さの読みがあるが,それらが漢字1つの書字的なユニットと結合しているかどうかを確かめる実験をおこなって,実際に漢字1つと発音とが強く結合していることを証明している(玉岡,準備中).さらに,中国語と日本語の漢字には微妙な違いがあり,中国語を母語とする日本語学習者の漢字習得に影響していると考えられる.そこで,中国語を母語とする日本語学習者に中国語と日本語での漢字認知実験を行い,日本語の漢字二字熟語を理解する際に中国語からの強い干渉および促進効果があることが分かった.また,逆に中国語で漢字二字熟語を理解する際にも,若干ながら日本語からの意味的な影響を受けることも明らかにした(玉岡・宮岡・松下,2002).さらに,日本語と中国語での接辞となる漢字から自由想起して漢字熟語を書く調査を行った.正確に想起された漢字熟語の数は,日本語能力テストの得点と強い相関を示した,これについては,現在,詳細の記述的分析を行つている.

  • 研究成果

    (13件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (13件)

  • [文献書誌] Tamaoka, K., Sakai, H., Kawahara, J., Miyaoka, Y.: "The Effects of Phrase-Length Order and Scrambling in the Processing of Visually-presented Japanese Sentences"Journal of Psycholinguistic Research. (In press). (2003)

  • [文献書誌] Tamaoka, K., Miyaoka, Y.: "The effect of English knowledge on the processing of Japanese loanwords"Japanese Psychological Research. 45(In press). (2003)

  • [文献書誌] Hatta, T., Kawakami, A., Tamaoka, K.: "Errors in writing Japanese kanji : A comparison of Japanese school children, college students and second language learners of Japanese"Asia Pacific Journal of Speech, Language and Hearing. 7(In press). (2003)

  • [文献書誌] 玉岡賀津雄, 宮岡弥生, 松下達彦: "日本語学習者の心的辞書(mental lexicon)の構造-中国語を母語とする超上級日本語学習者の漢字熟語の処理を例に"平成14年度日本語教育学会・中国地区研究集会予稿集. 1-8 (2002)

  • [文献書誌] 宮岡弥生, 玉岡賀津雄, 林弦情: "韓国語系日本語学習者における尊敬語と謙譲語の知識と運用-ペーパーテストとインタビュー実験を比較して"平成14年度日本語教育学会・中国地区研究集会予稿集. 38-47 (2002)

  • [文献書誌] Tamaoka, K., Kirsner, K., Yanase, Y., Miyaoka, Y., Kawakami, M.: "A Web-accessible database of characteristics of the 1,945 basic Japanese kanji"Behavior Research, Methods, Instruments & Computers. 34. 260-275 (2002)

  • [文献書誌] Morita, A., Tamaoka, K.: "Semantic involvement in the lexical and sentence processing of Japanese kanji"Brain and Language. 82. 54-74 (2002)

  • [文献書誌] Morita, A., Tamaoka, K.: "Phonological involvement in the processing of Japanese at the lexical and sentence levels"Reading and Writing. 15. 633-651 (2002)

  • [文献書誌] 玉岡賀津雄, 宮岡弥生, 黄其正: "「良妻ぶる」妻は「悪妻」か-接尾辞「ぶる」付加による価値評価の転換と収束"日本語教育. 114. 1-10 (2002)

  • [文献書誌] 林〓情, 玉岡賀津雄, 深見兼孝: "日本語と韓国語における呼称選択の適切性"日本語科学(国立国語研究所). 11. 31-54 (2002)

  • [文献書誌] 宮岡弥生, 玉岡賀津雄: "上級レベルの中国語系日本語学習者と韓国語系日本語学習者の敬語習得の比較"読書科学. 46. 63-71 (2002)

  • [文献書誌] Shogo Makioka: "A Connectionist Model of Phonological Working Memory"H.Yanai, A.Okada, K.Shigematsu, Y.Kano, J.J.Meulman (Eds.), New Developments on Psychometrics : Proceedings of the International Meeting of the Psychometric Society, Springer-Verlag, Tokyo Japan. 577-584 (2002)

  • [文献書誌] 牧岡省吾: "音韻ループのコネクショニストモデル"認知科学. 10巻1号(発行予定(ゲラ校正済み)). (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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