研究概要 |
Src型キナーゼによるNMDA受容体チロシンリン酸化の記憶における生理的役割を明らかにするために、NMDA受容体サブユニットNR2A及びNR2Bのチロシンリン酸化残基改変マウスの樹立・解析を進めた。NR2BのTyr1472はFynによる最も主要なリン酸化残基であり、NR2B Y1472F改変マウスではNR2Bのチロシンリン酸化レベルが約30%に減少した。このマウスの電気生理学的・行動学的表現型を解析中であり、扁桃体機能に異常を見出したので、更に詳細な解析を進めている。またNR2BのTyr1472以外のNR2A, NR2B上のチロシンリン酸化残基を標的とした遺伝子改変マウスの樹立も進め、NR2Aの主要なリン酸化残基Tyr1325を標的としたマウスなどを重点的に進めた。 チロシンリン酸化されたNMDA受容体の動態を検出するために、化学合成したチロシンリン酸化ペプチドを抗原として、NR2AのTyr1246,Tyr1267,Tyr1325及びNR2BのTyr1252,Tyr1336,Tyr1472のリン酸化を特異的に認識するうさぎポリクローナル抗体の作製を進めた。一部の精製抗体では免疫組織染色で検討を進めた。 Src型キナーゼによるNR1/NR2Aチャネルの増強がどのチロシン残基のリン酸化によるものかを293細胞再構成系を用い、電気生理学実験により検討した。 以上の解析に前提となるSrc型キナーゼによるNR2A, NR2B上のチロシンリン酸化残基は既に決定してある。
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