研究課題/領域番号 |
14657047
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岩城 徹 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40221098)
|
研究分担者 |
清原 裕 九州大学, 大学病院, 講師 (80161602)
飯田 三雄 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (00127961)
鈴木 諭 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (90294917)
|
キーワード | 痴呆疾患 / レビー小体型痴呆 / アルツハイマー病 / レビー小体 / 有病率 / 加齢 |
研究概要 |
痴呆の原因として脳血管性痴呆(VD)とアルツハイマー型痴呆(ATD)が多いとされてきていたが、久山町症例連続102剖検例の検討でレビー小体型痴呆(DLB)の頻度が最も多かった(Acta Neuropathologicaに発表)。そこで各痴呆疾患の頻度をより正確に評価する目的で、1986年1月から2002年12月の間(17年間)に死亡し、九州大学で剖検を施行した痴呆を有する連続195症例(剖検率:71.4%)の全てについて神経病理学的に詳細に検討することとし、現在そのうち159例について病理学的解析が済んだ。その結果、痴呆疾患の分類として、DLBが57例(35.8%)、ATDが35例(22.0%)、VDが44例(27.7%)、混合性痴呆(ATD+VD)が12例(7.5%)、神経原線維型老年痴呆(SD-NFT)が6例(3.8%)、その他が5例(3.1%)であり、やはりDLBが最も多かった。しかし各痴呆病理所見を併発している症例が多くみられたので、各病理所見別にその頻度を集計するとDLB病理所見が57例(35.8%)、ATD病理所見が79例(49.7%)、VD病理所見が68例(42.8%)であり、病理学的にATD病理所見が痴呆原因として最も多いと考えられた。ATD病変を伴わないDLB症例(pure DLB)では主に脳幹にレビー小体が存在していたが、ATD病変を伴うDLB症例(DLB/ATD)では脳幹から大脳皮質にまでびまん性にレビー小体が存在しており、それを反映してDLB/ATD群は有意にレビー小体スコアがpure DLB群より高値であった。またDLB/ATD群はpure DLB群と比べてより短期間内にレビー小体スコアが上昇していた。今回の結果は、これまでの報告以上にDLBの頻度が高いこと、レビー小体病理所見が脳幹から大脳皮質に進展する過程にATD病変が関与していることを示唆している。
|