1.癌抑制因子である転写因子IRF-1に結合する蛋白質を同定するために、IRF-1のN末端1-190残基をbaitとしてyeast two-hybridスクリーニングを行い、IRF-1結合蛋白質として、PIAS1およびPIAS3(それぞれ、転写因子STAT1およびSTAT3の阻害蛋白質)を同定した。そして、PIAS1あるいはPIAS3依存的に、IRF-1がユビキチン様タンパク質SUMO-1 (small ubiquitin-related modifier-1)の付加を受けることを見出し、PIAS1およびPIAS3がSUMO-1リガーゼとして働くと結論した。また、SUMO-1化修飾によってIRF-1の転写活性が抑制されることを明らかにした。なお、yeast two-hybridスクリーニングによって得られた蛋白質の中に、IRF-1のユビキチン化修飾に働くと考えられるユビキチンリガーゼの候補蛋白質は得られていない。2.PIASファミリーによる蛋白質の機能制御機構を明らかにするために、PIASファミリーをbaitとしてyeast two-hybridスクリーニングを行い、PIAS1結合蛋白質として、DNA損傷チェックポイントの制御因子Chk2を同定した。そして、293T細胞に、Chk2、SUMO-1およびPIAS1を強制発現させ、免疫沈降とウェスタンブロッティングにより解析し、Chk2がPIAS1依存的にSUMO-1化修飾されることを明らかにした。すなわち、PIAS1がChk2に対するSUMO-1リガーゼとして働くと結論した。3.癌関連因子である細胞増殖抑制因子Tob/BTGファミリーがプロテアソーム阻害剤によって安定化されること、また、ユビキチン化修飾を受けることを見出し、このファミリーがユビキチン-プロテアソームシステムによって分解されると結論した。
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