1.癌関連因子である細胞増殖抑制因子Tob/BTGファミリーがユビキチン化を受けて分解されることをすでに明らかにしている。そこで、そのユビキチン化修飾機構を明らかにするために、Tob/BTGファミリーに結合する蛋白質を酵母Two-hybridスクリーニングにより探索したが、期待する結果が得られなかった。2.細胞周期制御に関わる蛋白質のユビキチン依存的分解を司るユビキチンリガーゼE3として、G1/S期で機能するSCF複合体とG2/M期で機能するAPC/Cが存在する。Tob/BTGファミリーはS期進行を抑制することから、そのユビキチン化にSCF複合体が関与する可能性が考えられる。そこで、BTG1あるいはBTG2を、SCF複合体の構成サブユニットであるCul1(足場蛋白質)、Skp1(アダプター蛋白質)とともに、HeLa細胞に強制発現させ、免疫沈降とウエスタンブロッティングを行った。その結果、Cul1、Skp1のいずれもが、BTG1およびBTG2と共沈降することが明らかになった。3.次に、SCF複合体の基質認識サブユニットであるF-box蛋白質を各種用いて、BTG1あるいはBTG2との免疫沈降実験を行った。その結果、BTG1およびBTG2のいずれもが、2つのF-box蛋白質、Fwd1およびSkp2と結合することが明らかになった。4.そこで、2つのF-boxタンパク質の強制発現条件下で、BTG1のユビキチン化を解析したところ、Fwd1がBTG1のユビキチン化を顕著に促進し、Skp2は弱い促進効果しか示さなかった。以上の結果から、BTG1のユビキチン化はSCF^<Fwd1>複合体によって行われることが明らかになった。今後、BTGタンパク質のユビキチン化修飾の制御機構を解明することが必要である。
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