母乳性黄疸の原因となる乳児側の原因についてビリルビンUDP-グルクロン酸転移酵素遣伝子の解析と黄疸の強度と検討を今年度は行なった。合計56名の母乳栄養に起因した遷延性黄疸(母乳性黄疸)のビリルビンUDP-グルクロン酸転移酵素遺伝子(UGT1A1)の解析を行なった。これらの乳児には日本人に認められる遺伝子多型が多くみられ、母乳性黄疸の乳児側の原因であることが突止められた。また、黄疸の程度と遺伝子変異の関係も確認できた。多型の種類によっては母乳性黄疸の原因とならないものも見い出されてきている。UGT1A1の他の遺伝子変異が存在しないかの検討も行ない解析を進めている。今後はコントロール集団ンとの変異の才などについても解析を続けてゆく予定である。 この変異は遺伝性非抱合型高ビリルビン血症(体質性黄疸:Crigler-Najjar症候群I型、II型、およびGilbert症候群)の原因遺伝子であり、母乳性黄疸との関係を調べるため、これら疾患の遺伝子解析を平行して行なっている。 母乳性黄疸をきたす遺伝子多型がどのように黄疸の遷延に関与しているかを培養細胞を用いいた発現実験で確認してゆくための準備としてUGT1A1のcDNAのサブクローニング、発現ベクターの作製、ならびに発現ベクターへの変異導入を終了しRIを用いて酵素活性を始めている。
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