研究概要 |
平成14年度に続き日本人の母乳性黄疸をきたす児のビリルビンUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT1A1)の遺伝子解析を行なっている。60人以上の症例の解析がこの2年間に行ない、これまでに報告している日本人を含む東アジア人特有のG71R多型がやはり乳児側の発症要因であることを確認できた。それ以外にも新たな原因になりうる遺伝子変異を発見し、現在その確認を行なうための解析を続けている。遺伝子変異と母乳性黄疸の程度(血清ビリルビン値)との関係も現在解析中で平成16年度中に結果を出す予定である。また、遺伝子多型と母乳性黄疸の関係についての解析より、母乳性黄疸を起こしにくいUGT1A1の多型もわかってきており今後どの遺伝子多型が母乳黄疸をきたしやすく、どの遺伝子多型は起こしにくいかが判明できると考えている。 今回の母乳性黄疸の解析に伴い、ビリルビンUDP-グルクロン酸転移酵素遺伝子(UGT1A1)の新たな変異を発見できた(J Pedatr Gastr Enterol 2003)。遺伝子変異が,ビリルビンUDP-グルクロン酸転移酵素の酵素活性に及ぼす影響を培養細胞を用いた発現実験系を構築し検討できるようにできた。また、UDP-グルクロン酸転移酵素に特異的なポリクローナル抗体も作成でき、正確な酵素活性の比較ができるようになった。 さらに、UGT1A1の遺伝子多型の解析のみならずUGT1A1の属するUGT1ファミリーの他の分子種の遺伝子多型の解析を行ない、新たな多型を複数発見し、薬物代謝に及ぼす影響を明らかにしてきた(J Hum Genet 2004)。
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