CMEの前に発生しているフレアもあれば、CMEの後に発生しているフレアも存在しており、一見フレアとCMEの発生に関して時間的なつながりに一般性はないと考えられる。しかし、私はフレアに関するSakao et al.(1998)の提案から、新たな視点でフレアとCMEのつながりについて研究を行なうこととした。 太陽フレアには非熱的粒子が支配的で硬X線放射がハードなフレアと、熱的粒子が支配的で硬X線がソフトなフレアが存在する。Sakao et al.は硬X線源の動きから、ハードなフレアは浮上磁場と既存磁場によるローカルな磁場の再結合で発生していると提案した。この提案が正しいとすると、ハードなフレアではフレアの影響によってCMEが発生している可能性が考えられる。そこで今年度はハードなフレアが浮上磁揚によって発生しているかどうかを調べた。 ようこう衛星の硬X線望遠鏡、SOHO衛星のMDIで観測されたハードなフレアを抽出し、解析を行なった。その結果、解析を行なった全てのハードなフレアにおいて、フレア開始の数時間前までに浮上磁場の存在をフレア領域で確認することができた。また、ようこう衛星の軟X線画像と地上のHα線画像と浮上磁揚の位置の比較を行なったところ、軟X線フレアループの足元付近に浮上磁場が位置していること、またHα輝点と浮上磁場の位置がほぼ同じ領域に存在していることが分かった。これらの結果は、ハードなフレアが浮上磁場によって発生していることを強く示唆している。
|