キラー抑制レセプター(KIR : Killer inhibitory receeptor)を介したNKT細胞の活性化の制御および分化・成熟の機構を明らかにすることを目的として、本研究を実施し、以下のことを本年度明かとした。 1 NKT細胞におけるKIRの発現 NKT細胞におけるKIRの発現を解析するために、従来のマーカーであるNK1.1とKIRとしてCD94を用いて解析を行った結果、肝臓のNK1.1^+ NKT細胞の約30%程度がCD94を発現していた。またNK1.1陰性のT細胞には発現していないことよりCD94はNK細胞の他にNKT細胞の一部でのみ、発現している事が明かとなった。NK1.1+NKT細胞の中にCD94が陽性と陰性のサブセットが存在することが明かとなった。この成果を活かし、今後、これらの機能的(サイトカイン産生能)な違いについて検討する予定である。またCD94^+NKT細胞がCD94のリガンド(Qa-1^b/Qdm)による制御を受けるか、CD94リガンド欠損マウス由来の樹状細胞を用いて解析する予定である。 2 KIRの発現とNKT細胞の分化・成熟の関連性 未成熟なNKT細胞はNK1.1を発現しないことが明かとなっている。CD1d拘束性のNKT細胞を同定するためにCD1dテトラマーを作成し、NKT細胞を同定した。未成熟なNK1.1陰性のNKT細胞にはCD94の発現は認められたかった。NK1.1と同様にNKT細胞の成熟に伴ってCD94が、発現し、その制御を受ける可能性が示唆された。今後、CD94リガンド欠損マウスを用いてそのNTK細胞の発生を検討する予定である。
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