平成16年度の本研究では「WWW型統合学習環境の実装、評価実験及び改良」を主たる目標として実施した。以下、本研究のサブテーマごとに本年度の研究実績を説明する。 (1)WWW型統合学習環境の開発(平成15年度からの継続) 平成15年度に実施した本研究において残っていた研究部分(学習者モデル、学習制御機構)を継続的に実施した。 (1-1)学習者モデル部の開発 過去の科研費プロジェクトで試作した統合型漢字学習環境KALISTの学習者モデル部を参考に、新しく構築するWWW-KALISTに実装する同機構の機能を設計した。特に、複数の漢字CAIシステムが学習者の知識状態を共有できるような学習者モデルのアーキテクチャを考案した。この学習者モデルを本研究では共有学習者モデルと呼ばれ、それまでの学習状況を考慮した教育制御が可能となった。実際にこの機能が動作することの検証を目的にテストベッドシステムとして3種類の漢字CAIシステムを開発し、当該モデルの有効性、問題点などを調査した。 (1-2)学習環境制御機構の開発 上記(1-1)と同様に統合型漢字学習環境KALISTの学習者モデル部を参考に、新しく構築するWWW-KALISTに実装する同機構の機能を設計した。特に(1-1)との連携も考慮した「一貫性のある漢字学習環境(以前の漢字学習と現在の漢字学習が関連付けされている状態)」を学習者に提供するための実現方法として、LAP (Learning Application Property)と呼ぶシステム情報による間接制御と、KASTAM (Knowledge Acquisition and Stability Model)と呼ぶ漢字学習における知識獲得定着モデルによる間接制御を提案し、実装を進めた。 (2)国内会議で成果報告 関連する国内の研究会(電子情報通信学会教育工学研究会、教育システム情報学会研究会)で本研究発表を行い関連研究者と研究意見交換を行った。
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