研究概要 |
(1)関連文献,データ収集:モデルの基盤とするための文献収集を行い,データベースを構成した.対象臓器は膵β細胞,肝細胞,筋細胞を中心とし,生物種は,文献数の豊富なラットなど齧歯類を中心とした.文献からは,代謝経路の数理モデル,経路を構成する個々の分子機能の数理モデル,速度論パラメータなどを集めた.また,各臓器を結ぶ循環系についても情報を収集した. (2)数理モデルの構築:膵β細胞のインスリン分泌,肝および筋の糖代謝について基盤となるモデルを構築した.β細胞モデルは,解糖系の反応測度論モデルと,カルシウムハンドリング/インスリン分泌モデルを個別に構築し,その結合にも着手した.肝および筋は,解糖系,糖新生,グリコーゲン代謝を含む細胞モデルを構築し,これを編成して臓器モデルとする方法を検討している.循環系モデルは単純なプロトタイプを構築した. (3)E-CELLへの実装仕様の決定:シミュレーション環境としてはE-CELL ver.1を用いている.また,代謝経路モデルでは,全酵素について正確な速度論データを取得することは困難であるため,Dynamic-Static Hybrid Algorithm(中山,柚木ら.私信)を採用することとした. (4)E-CELL上でのモデル構築作業:(2)で構築したモデルをE-CELL上に実装し,シミュレーションを行った.シミュレーション結果を実験データと相互検討し,モデル構造,パラメータへのフィードバックを行った.Dynamic-Static Hybrid Algorithmの実装による結果の変動についても検討を開始した. これらの成果については,ISMB2002(カナダ),ICSB2002(スウェーデン),第13回ゲノム情報国際会議(GIW2002,東京),日本糖尿病学会,日本分子生物学会年会等で学会発表した.
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