• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実績報告書

新規遺伝子変異標的SF3B1などによる骨髄異形成症候群の発症メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 14J03784
研究機関東京大学

研究代表者

昆 彩奈  東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2014-04-25 – 2016-03-31
キーワード骨髄異形成症候群 / 遺伝子改変マウス
研究実績の概要

骨髄異形成症候群(MDS)の全エクソン解析および高速シーケンシング技術を用いた網羅的変異解析によって高頻度に変異していることが同定された標的遺伝子であるスプライシング関連遺伝子SRSF2がMDSの病態において果たす機能の検討をおこなった。まず、SRSF2変異がin vivoでもたらす生物学的効果を検討するために、造血系に特異的に変異アレルを発現したコンディショナルノックインマウスを作成した。また、我々の研究室を含む複数のグループによる多数症例のMDSを対象とした網羅的な変異解析の結果からは、MDSの発症には平均して数個のドライバー変異が必要であることが示唆されており、スプライシング因子変異の効果は、共存する変異やその発生順序に依存している可能性がある。そこで、SRSF2遺伝子変異のコンディショナルノックインマウスを、MDSにおいて共存頻度の高い遺伝子変異アレルを有するマウスに関するコンディショナルノックアウトマウス)交配させることでMDS疾患モデルマウスの構築をおこなった。フローサイトメトリーを用いた骨髄細胞表面マーカー解析により、SRSF2変異マウスでは造血幹/前駆細胞分画が減少していることを明らかにした。致死量の放射線を照射したレシピエントマウスに、変異マウス由来の骨髄細胞を経静脈的に移植し、造血系の表現系の観察をおこなった。変異マウスでは、野生型マウスと比較して、貧血および白血球減少をみとめた。また、フローサイトメトリーを用いた骨髄細胞表面マーカー解析により、造血幹/前駆細胞分画およびB細胞系列の減少を認めた。さらに、骨髄細胞には異形成が認められ、骨髄異形成症候群の表現系を示した。上記結果をふまえ、SRSF2変異マウスの造血・前駆細胞分画をFACSソーティングにより採取し、RNAシーケンスを行うことにより、変異マウスの表現系の原因となる標的遺伝子の検索を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究は、遺伝子変異ノックインマウスモデルの作成および解析を通じて、骨髄異形成症候群(MDS)の原因遺伝子であるスプライシング関連遺伝子がMDSの病態において果たす機能を明らかにすることを目的としている。これまでに、造血系に特異的にSRSF2変異アレルを発現したコンディショナルノックインマウスを作成した。フローサイトメトリーを用いた骨髄細胞表面マーカー解析により、SRSF2変異マウスでは造血幹/前駆細胞分画が減少していることを明らかにした。致死量の放射線を照射したレシピエントマウスに、変異マウス由来の骨髄細胞を経静脈的に移植し、造血系の表現系の観察では、変異マウスでは、野生型マウスと比較して、貧血および白血球減少をみとめること、造血幹/前駆細胞分画の減少を認めることを明らかにした。さらに、骨髄細胞には異形成が認められ、骨髄異形成症候群の表現系を示した。SRSF2変異マウスの造血・前駆細胞分画をFACSソーティングにより採取し、RNAシーケンスの解析を進めており、骨髄異形成症候群の病態解明に大きく貢献する成果が得られているといえる。

今後の研究の推進方策

これまでに作成し解析を進めているSRSF2変異ノックインマウスは、骨髄異形成症候群に類似した表現型を示している。今後、SRSF2変異マウスの造血・前駆細胞分画をFACSソーティングにより採取し、RNAシーケンスを行うことにより、変異マウスの表現系の原因となる標的遺伝子の検索を行いたいと考えている。また、MDSにおいて共存頻度の高い遺伝子変異アレルを有するマウスに関するコンディショナルノックアウトマウス)と交配させたMDS疾患モデルマウスを用いて、他の遺伝子変異との協調関係においてSRSF2変異が果たす役割についても明らかにしたいと考えている。さらに、SRSF2変異コンディショナルマウスから採取した骨髄細胞を用いて、薬剤感受性をスクリーニングし、新規治療薬開発の可能性を検討する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] Srsf2 P95H mutation results in impaired stem cell functions and compromised hematopoietic differentiation in mice2015

    • 著者名/発表者名
      Ayana Kon
    • 学会等名
      20th Congress of European Hematology Association
    • 発表場所
      ウィーン(オーストリア)
    • 年月日
      2015-06-11 – 2015-06-14
  • [学会発表] The biological and prognostic significance of pathway mutations of cohesin complex in MDS2014

    • 著者名/発表者名
      Ayana Kon
    • 学会等名
      日本血液学会学術集会
    • 発表場所
      大阪府立国際会議場 (大阪府大阪市)
    • 年月日
      2014-11-01
  • [学会発表] The biological and prognostic significance of pathway mutations of cohesin complex in MDS2014

    • 著者名/発表者名
      Ayana Kon
    • 学会等名
      日本癌学会学術総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜 (神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2014-09-26

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi