研究概要 |
Trm5とTYW1というtRNA37位に働く2種類のtRNA修飾酵素の立体構造を決定した。Trm5はクラス1メチル化酵素に属していることが立体構造の視点から明らかになり,tRNAの認識機構のモデルを立てることが出来た。TYW1は近年注目を浴びているラジカルサム酵素群に属しており,立体構造から一次配列たけでは予想できなかったFe-Sクラスターを見出した。また,56位の2'OHをメチル化するTrm56の立体構造の決定にも成功し,2量体として機能し,基質tRNAとしてはラムダ型よりもL型を好むことを生化学的な解析と併せて明らかにした。さらに,tRNA^lleの34位のリシジン生成を担うTilSとリジン,マグネシウムイオン,ATPの複合体の立体構造を決定し,反応機構を推定した。これらの結果を原著論文としてそれぞれ発表した。 近年エピジェネティックな制御による生体反応の理解が進んでいる。本研究ではヒストン脱メチル化を担う酵素の一つであるLSD1と阻害剤反応体との複合体の立体構造を決定し,阻害機構を明らかにした。 一部の古細菌に見られるtRNA依存的なシステイン合成を担う酵素の一つである,Sep-tRNA:Cys-tRNA合成酵素を決定し,その反応機構を推定した。 アラニルtRNA合成酵素の校正ドメインとホモロジーを持つAlaXの立体構造を決定し,N末端ドメインとC末端ドメインに分けられ,C末端ドメインの中に触媒部位が存在することを予想した。
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