研究分担者 |
須藤 靖明 京都大学, 理学系研究科, 助教授 (40025466)
大倉 敬宏 京都大学, 理学系研究科, 助教授 (40233077)
金嶋 聡 九州大学, 理学研究院, 教授 (80202018)
山本 希 東北大学, 理学系研究科, 助手 (30400229)
橋本 武志 北海道大学, 理学系研究科, 助教授 (70283588)
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研究概要 |
本研究では,火山の噴火に伴うマグマ・ガス・水などのものの流れを地震学的にとらえることで,阿蘇火山の噴火の準備過程,噴火過程,終息過程における物質の移動を定量化し,噴火のダイナミクスの理解を深めること,さらに阿蘇火山における将来の定量的火山噴火予測への道しるべとすることを目標としている. 本年度は以下のことを行った:(1)GPS観測を継続しデータ解析を行なった.3観測点において,1秒サンプリングによるデータ収録およびテレメータシステムの導入を行なった.2003年12月から2007年2月まで,全体的に短縮性の地殻変動がえられている.2004年1月および2005年4月には土砂噴出が発生した際には顕著な地殻変動は検出されなかったが,2005年4月の噴火の前には短縮性の地殻変動が若干停滞していたことが明らかになった.(2)1997年以降の広帯域地震記録を解析し,長周期微動の卓越周期の時間的変化が火口から放出される火山性ガスの時間的変動と長期に渡り良い相関があることを明らかにした.この相関関係はこれまで行ってきた流体亀裂震動のモデリング結果と良い一致を示す.また1930年代以降のアナログ記録のデジタル化も進め,当時の火山性微動活動の推移を明らかにした.(3)阿蘇火口周辺で火山ガスの流れによって連続的に発生する火山性微動の震源位置が秒速10m/s近い高速度で見かけ移動することを見いだした.この現象は火山ガス流路が火口直下で複数に分岐し各々の流量が時間変化すると考えれば説明できる.さらに阿蘇火山の浅部火道システムは,地表の噴気活動から推測されるよりもずっと広く発達している事が示唆された.(4)1990年代の湯だまりに関して,熱収支・水収支の再計算を行った.その結果,湯だまりの熱・水収支の主要項となっているのは,表面からの蒸発と湖底噴気(もしくは噴湯)であることが明らかになった.
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