研究課題/領域番号 |
15300193
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
関 和則 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20206618)
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研究分担者 |
半田 康延 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00111790)
藤居 徹 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70302122)
吉澤 誠 東北大学, 情報シナジーセンター, 教授 (60166931)
高橋 隆行 福島大学, 理工学群, 教授 (70197151)
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キーワード | 足漕ぎ車椅子 / 脳卒中 / 片麻痺 / H波 / 運動誘発電位(MEP) / 筋電図 / Virtual Reality |
研究概要 |
本研究は、脳卒中片麻痺患者による足漕ぎ車椅子駆動に関する基礎的・臨床的検討を行うものである。今年度は以下の4点について実験等を行い成果を発表した。 1)一側下肢によるペダリング運動時の電気生理学的指標の変化:ペダリング装置上での一側下肢ペダリング中に、静止状態にある対側(麻痺側)下肢のH波と運動誘発電位(MEP)を測定する実験を、昨年度に引き続いて痙性片麻痺患者2名で実施した。健常者と比較して痙性片麻痺患者では、ペダリング中に対側(麻痺側)下肢のH波振幅減少は得られにくいが、安静時には出現しないMEPがペダリング中には出現することが観察された。片麻痺患者では、一側下肢の随意ペダリング運動は、脊髄運動ニューロンの抑制よりも、大脳皮質の興奮性増大に作用することが示唆された。 2)片麻痺患者による足漕ぎ車椅子駆動時の下肢筋電図:足漕ぎ車椅子駆動中にはBrunnstrom StageIの完全片麻痺患者でもペダルの回転に応じた周期的な筋電図が記録され、麻痺筋の筋活動誘発効果が得られることが昨年度の研究で明らかにされたが、本年度はこの成果を国際電気生理運動学会、国際FES学会等で報告した。 3)Virtual Reality等を利用した足漕ぎ車椅子駆動練習装置の開発:足こぎ車椅子駆動の定量評価とシミュレーションを目的とした二つの練習装置を開発した。仮想空間映像を見ながら足漕ぎ車椅子を駆動する装置では、患者の重症度に応じたペダリングの特性評価が可能であり、学会報告を行った。ペダリング中の関節トルクを左右下肢別に測定できる固定型のエルゴメーターも作成し、筋電図を同時測定しながら片麻痺患者で評価試験を実施したところ、筋電図の発生と関節角度変化およびトルクの発生に一定の関係がみられることが判明した。 4)移動機器としての実用性の検討:宮城県内の老人保健施設で、訓練と実用移動を目的とした足漕ぎ車椅子の連続使用を行った。計20名の入所者および通所者に、施設内で日常的に使用させたところ、通常の車椅子に比べて対象者の活動量が増加し施設内での移動距離が増大した。これにより、使用前後の歩行速度が測定できた3名では、足漕ぎ車椅子使用後に歩行速度が著明に改善した。
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