研究概要 |
津波災害においても以前よりハザードマップ作成の必要性が指摘されている.いくつかの地域ではすでに作成されているが,未だ普及しているとはいえない.技術的支援のために2003年には国土交通省により「高潮・津波ハザードマップ研究会」が開催されるなど,ハザードマップの記載内容および表現方法,活用方法に対しての提案が行われている最中であり,本研究では,ハザードマップをより効果的なものにするために,現状での記述内容を整理し,記述方法の違いが利用者の情報の受け取り方にどのような影響を及ぼすのかについての検討を試みた.その結果,既存のハザードマップに見られた浸水域の記述方法の違いが利用者の危険度認識に差異を与えていることが示された.しかし,危険度の認識の差が避難の意識の差につながっていない.これは浸水域の表示方法を変えるだけでは避難行動に移してもらおうという意識を変えることは難しいということを示しており,危険区域を表示すこと以外の対策も考えていくことが今後の課題である. さらに,本研究では,津波対応のための防災マップ作成を取り入れた防災ワークショップについて,仙台市港地区と釜石市根浜地区で行われた事例を参考に,住民参加による防災WSやマップの作成における効果と課題点について整理を行った.津波対応のマップづくりを取り入れた防災WSによる効果と課題(事前・中・後)を整理することが出来た.これらをベンチマークにして,より一般的で効果の期待できる実施手法についてさらなる検討が必要であるとともに,住民らに現れる効果を測定することが今後の課題である.
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