研究概要 |
過去の災害データ,ハザードマップ,体験型学習,避難訓練などの情報・活動が,住民や行政担当者にどのようにして認知され、それが知識化し、どの位の期間まで記憶化されるのかを,本研究で独自に企画した体験学習,ハザードマップ作成作業,発災対応型防災訓練などを実施する中で調査研究を行った. 今年度は,2004年スマトラ地震インド洋大津波が発生した直後であり,津波災害を対象に地域および学校での2種類の取り組みを実施した,まずは,宮城県津波防災サイン検討会における住民参加型防災対策の実施であり,地域住民のみならず観光客も対象とした津波避難サインの設置を目指した.現地の避難経路の状況と災害時における防災情報の伝達手段のあるべき将来像を地域の方々と一緒に議論したものである. 平成16年10月から始めて,7回に渡るワークショップ,現地確認,津波防災訓練,効果検証を行い,リスク認知向上だけでなく地域での対策の役割分担についての認識が高まった.次は,防災教育の先進的な取り組みとしての防災教育チャレンジプランの補助を受けた気仙沼市立階上中学校での活動である.総合的な学習の時間に防災マップを作成する学習を行い,地震や津波のメカニズムについて学んだ後,地域の危険箇所や住民の防災意識について実地調査を行い,その結果を防災マップや標語の形でまとめている.このような学校での活動の有無による生徒の意識変化の調査を行った. その結果,リスク認知や個人の態度については,明確な差が見られる一方,規範的信念,主観的規範については,メディアなどを通じて認知されている部分が多く,個人の意図や判断については,今の教育プログラムでは対象外となったため差が見られなかった.また,現在の防災教育の課題は,漠然とした意識はあっても具体的な知識は乏しい場合が多いこと,実際に行動した結果を生かして認知や意識の再構築を行う形式の学習がないことが挙げられた.
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