研究課題/領域番号 |
15320024
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 武蔵野美術大学 |
研究代表者 |
玉蟲 敏子 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (10339541)
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研究分担者 |
田島 達也 京都市立芸術大学, 美術学部, 専任講師 (40291992)
大久保 純一 国立歴史民俗博物館, 情報資料研究部, 助教授 (90176842)
相澤 正彦 神奈川県立歴史博物館, 学芸部, 主任学芸員 (10159262)
星野 鈴 東京造形大学, 造形学部, 教授
並木 誠士 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (50211446)
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キーワード | 古画備考 / 書画 / 江戸時代 / 情報 / 江戸 / 古画趣味 / 美術史 / 備忘録 |
研究概要 |
本研究は、代表者1名・分担者5名・協力者6名で構成される合計12名から成る研究組織によって推進しており、平成15年度は全員出席の研究会を3回、見学会を2回開催した。本年度の研究を着手するにあたり、最初に、朝岡興禎自筆『古画備考』原本48巻(東京藝術大学附属図書館)、活字本の底本51巻(「図書寮印」本、東京国立博物館)のマイクロフィルム紙焼きを作成し、これをもとに各分担分野を確定して各自、校合作業に取り掛かることにした。 研究会においては、まず『古画備考』の近代の写本類についての考察を深めた。すなわち、新出の東北大学附属図書館本(池山六石筆写)が活字本の底本である「図書寮印」本を書写したものであることが明らかにされ、次いで京都大学図書館所蔵写本の概容も報告された。これらの報告により、近代の写本の系統分類は原本との偏差を明示する重要なテーマであることが確認された。また、『古画備考』に所収される『長崎画人伝』の成立を窺う上で重要な『崎陽名画録稿』(神戸市立博物館)が報告され、江戸と長崎間における情報授受の臨場感あふれる現場が浮かび上がってきた。このような情報交換は他の箇所においても適宜、行なわれたことが予測され、全体の解明に向けた貴重な提言となった。見学会は、原本と「図書寮印」本の実態を調査した。それによって活字本では求めようもない稿本としての特性(縮図・印章の摸写など・紙片の貼付)を、研究従事者全員の基本的な知見として共有することになった。また、各分担分野の実作品を古美術商において調査し、知見を深めた。 本年度はまた、『古画備考』に集積された諸情報を解析する上で重要な、『画師姓名冠字類鈔』(国会図書館)、『新撰和漢書画一覧』(東京大学附属図書館)、『和漢書画くん印補正』などの基本図書・関連資料の収集・整備に努め、さらに、校合作業の成果を最終的に書き込んでいくことになる『古画備考』全文テキストのワード入力にも着手した。基本的な校合作業を主とした本年度は、いわば基礎づくりに終始した一年であったが、来年度からは、それらの基本作業を踏まえた上での、個別の問題提起が次々と行なわれ、新しい発見が活発に行なわれていくことと予測される。
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