北方諸言語の類型的比較研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15320047
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 北海道大学
• 研究代表者: 津曲 敏郎 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (80113588)
• 研究分担者: 遠藤 史 和歌山大学, 経済学部, 助教授 (20203672) ; 呉人 恵 冨山大学, 人文学部, 教授 (90223106) ; 宮岡 伯人 大阪学院大学, 情報学部, 教授 (60002979) ; 渡辺 己 香川大学, 経済学部, 助教授 (30304570) ; 風間 伸次郎 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (50243374)
• キーワード: 北方諸言語 / 言語類型論 / 危機言語 / 環北太平洋

研究概要

1.研究会議の開催
当初の計画どおり、7月上旬に第1回研究会議を札幌で開催した。3名の分担者と3名の協力者からの研究報告をもとに、討論を行った。特に池上二良・北海道大学名誉教授の参加をあおぎ、本研究の開始にあたって指針となるような講演を聞く機会をもてたことはきわめて有意義であった。この会議では今後の活動方針についても確認した。次いで1月には日本言語学会主催の危機言語シンポジウム開催にあわせて東京に分担者4名、協力者2名が集い、分担者2名の報告を含む討論に参加するとともに、研究打ち合わせの機会をもった。
2.海外実地調査による資料収集
代表者・分担者あわせて7名および協力者1名が本研究による海外調査を実施した。これにより本研究推進のための資料を収集・拡充するとともに、現地研究者や研究教育機関との連携を深めることが出来た。収集されたデータの一部は謝金を活用して入力・整理され、今後の比較研究のために共有できるよう、各分担者のもとで分析ならびにデータベース化の作業が進められた。
3.研究報告書の刊行
本研究のメンバーおよび協力者は、平成11〜14年度特定領域研究「環太平洋の<消滅に瀕した言語>にかんする緊急調査研究」(代表:宮岡伯人)の環北太平洋班としての活動などをとおして、すでに相当程度の調査・研究の蓄積があった。そのこともあって、本研究としては初年度であるが、成果の一部を研究報告書(津曲敏郎編『環北太平洋の言語』11号、2004年3月刊)のかたちで刊行することができた。

研究成果

• [文献書誌] 津曲敏郎(Toshiro Tsumagari): "Dagur"The Mongolic Languages (J.Janhunen ed.). 129-153 (2003)
• [文献書誌] 中山俊秀: "ヌートカ語における複統合性について:語彙的接尾辞の用法から"環北太平洋の言語. 11. 1-15 (2004)
• [文献書誌] 中山俊秀, 中山久美子: "「犬になった酋長」-ヌートカ語アハウザット方言テキスト"環北太平洋の言語. 11. 17-33 (2004)
• [文献書誌] 呉人 恵: "コリャークにおける家畜トナカイ名称とその変容"環北太平洋の言語. 11. 35-43 (2004)
• [文献書誌] 風間伸次郎: "ツングース諸語におけるIII群の形成について"環北太平洋の言語. 11. 91-114 (2004)
• [文献書誌] 渡辺 己: "北アメリカの「危機言語」:現状と問題点"消滅の危機に瀕した言語の研究の現状と課題(崎山理編). 139-145 (2003)
• [文献書誌] 笹間史子: "海岸ツィムシアン語の現状と問題点"消滅の危機に瀕した言語の研究の現状と課題(崎山理編). 127-137 (2003)
• [文献書誌] 遠藤 史: "ユカギール語の現状と問題点"消滅の危機に瀕した言語の研究の現状と課題(崎山理編). 169-180 (2003)
• [文献書誌] 永井佳代: "シベリア・ユピック語の現状と問題点"消滅の危機に瀕した言語の研究の現状と課題(崎山理編). 295-298 (2003)
• [文献書誌] 宮岡伯人: "文法記述と術語"消滅の危機に瀕した言語の研究の現状と課題(崎山理編). 309-312 (2003)
• [文献書誌] 呉人徳司: "ツンドラにトナカイを追う:チュクチ"北のことばフィールド・ノート:18の言語と文化(津曲敏郎編). 135-150 (2003)
• [文献書誌] 津曲敏郎(編): "環北太平洋の言語 第11号"北海道大学大学院文学研究科. 237 (2004)
• [文献書誌] 津曲敏郎(編): "北のことばフィールド・ノート:18の言語と文化"北海道大学図書刊行会. 274 (2003)
• [文献書誌] 呉人 恵: "危機言語を救え!ツンドラで滅びゆく言語と向き合う"大修館書店. 208 (2003)