研究課題
基盤研究(B)
1.初年度にあたる平成15年度は、関係史資料の調査・収集に力を注いだ。(1)国内では、東洋文庫の所蔵状況を確認したうえで外務省外交史料館、防衛庁防衛研究所図書館、山口大学東亜経済研究所でメンバー合同の調査を行った。その結果、『青島守備軍旬報』(1914-15年)、『軍軍令告示集』(1914-20年)を見つけることができた。また、個々の調査結果も併せて、青島守備軍民政部鉄道部がシリーズとして作成した『調査資料』について、31点のうち22点の所在が明らかになり、外交史料館のファイルからは『山東鉄道調査報告』も見出した。これらの調査資料は、青島と山東鉄道及びその沿線地域を勢力範囲として中国大陸進出を図る日本の企図を具体的に分析するうえで重要な資料である。さらに、占領下の青島に進出した日本人の経済活動を反映する『青島実業協会月報』(2-45号)について、研究協力者の協力を得て記事目録を作成した。(2)平成16年度に予定している中国での調査に向けて、青島と済南に研究分担者2名を派遣して予備調査を行った。青島市社会科学院・山東省社会科学院歴史所を訪問して資料について教示を得たほか、今後の研究交流の必要も確認された。また、档案館などでも資料の所蔵状況を調査した。2.1910-20年代初めの山東地方史、山東問題をめぐる日中関係などに関する先行研究を参考にしつつ、具体的には、日本軍の占領体制、日本の軍事行動と山東の民衆、青島守備軍鉄道部の調査活動、ドイツの青島経営、山東省の農村社会の構造変動、山東省の穀物事情、葉煙草を中心とする農産物事情、大連における山東移民、山東鉄道の延長線問題、山東鉄道返還後の日本人雇用問題などのテーマを設けて、1(1)の資料を中心に検討を始めた。
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