研究課題
1)前年度末に本研究の中間報告として論文集『日本の青島占領と山東の社会経済』を東洋文庫から刊行することができたが、これを基礎にして「国際シンポジウム<日本の青島占領と山東の社会経済>をめぐって」を開催した。シンポジウムでは、論文集に寄稿を得た山東社会科学院および青島市社会科学院の研究者を招聘し、また国内では中国史だけでなく日本史研究者の参加を得て、日本軍の占領下に進められた日本資本の山東進出の実態を中心に日本の山東経営の諸問題について報告と討論が行われた。そして、山東還付後の変化、関東州租借地経営との比較の必要など更なる研究の発展と深化のために有益な示唆を得ることができた。2)シンポジウム参加の山東社会科学院庄維民・劉大可両氏を囲んで、両氏の共著『日本工商資本与近代山東』について本研究メンバーによる合評会を開いた。本書は日本の山東侵略に関する総合的な研究書であり、その研究方法が従来の中国の研究に見られた「半植民地化」論によらず、日本の資料をも系統的に使って山東の社会経済の変動の一要因として日本の影響を具体的に分析している点に注目した。日本軍の青島占領下における日本資本の鉱工業・商業経営・金融業などへの進出問題を中心に、焦点のかみ合った討論ができた。3)過去3年間の資料収集・調査の結果を「青島守備軍編刊書・報告書目録附・解題」にまとめ、研究成果報告書に収録した。青島守備軍の各部門及び山東鉄道管理部が作成した調査資料をまとめ、うち主な資料についてはメンバーが分担して解題を作成したものである。日本の山東経営策をみる上で青島守備軍の行った調査活動とその報告書の検討は欠かせないが、従来それらを一覧できる目録はなく、本目録は今後の研究に寄与するところ大であると考える。
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近きに在りて 49
ページ: 3-16
歴史学研究 815
ページ: 43-50
『「帝国」日本の学知(第6巻 : 地域研究としてのアジア)』岩波書店
ページ: 239-282
地域総合研究(鹿児島国際大) 33-1