研究分担者 |
中西 僚太郎 千葉大学, 教育学部, 助教授 (70202215)
河野 敬一 常盤大学, 人間科学部, 助教授 (70211894)
荒山 正彦 関西学院大学, 文学部, 助教授 (70263184)
三木 理史 奈良大学, 文学部, 助教授 (60239209)
米家 志乃布 法政大学, 文学部, 助教授 (30272735)
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研究概要 |
本研究は,近代日本において作成された民間地図ならびに風景画や写真などの画像資料を題材として,当時の人々の地理的知識や国土認識のあり方を明らかにし,これらの資料を利用した歴史地理学的研究の可能性を提示することを目的とした。 近代日本においては,地形図に代表される官製地図以外にも,民間の機関・個人によって数多くの地図が刊行されてきた。このような民間地図の作成目的は,観光案内,商工案内,学校教育など多岐にわたる。官製地図は国家統治や軍事などを目的とし,近代的測量技術をもって作られたが,民間地図はこのような束縛を受けないため,当時の社会や生活の実態について新たな情報を提供してくれる。さらに,風景画や写真などの画像資料からは,当時の文字資料では知ることができない地理的情報を読み取ることができる。本研究では,資料論的な考察によって,民間地図と画像資料に関する書誌的な情報を蓄積した。研究成果報告書に収めた論文の題目は次の通りである。 山田志乃布「風景画の歴史地理学的研究-「明治六年札幌市街之真景」をめぐって-」。関戸明子「温泉地の,鳥瞰図の特色と表現内容-熱海温泉を事例として-」。中西僚太郎「明治・大正期の松島を描いた,鳥瞰図」。河野敬一「近代期における市街地図の刊行-東京交通社による「職業別明細図」の所在目録作成を通じて-」。三木理史「明治末・大正期の地方行幸啓と府県写真帖-写真帖と地誌との邂逅をめぐって-」。荒山正彦「満洲旅行と印刷出版物」 各自が鳥瞰図・商工図・絵画・写真帖などを幅広く考察し,作成目的・作成主体などの資料論とその活用方法について、議論を深めることができた。こうした点で,研究テーマに即した具体的な成果が得られたといえる。
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