研究課題
1.文献サーヴェイを通じ、従来の「活性化」に関する議論の論点を整理した。個人レベルでは「やる気」の創出、キャリア開発への積棒的意欲、イノベーションの受容などが、組織レベルでは創造的企業風土、イノベーションの導入、新規創業・新産業の創出、そして全体社会レベルではネットワーク社会化、競争に対応したセーフティネットの整備、社会資本の形成が重要な問題として抽出された。次年度には、諸調査結果に基づき、個人・組織・全体社会レベルの媒介項としての地域社会活性化の政策的モデルの提示をめざす。2.また、事業所統計調査の分析を通じて、地域の中で事業所の設立・成長・消滅などの分布パターンを検討した。それによれば関西、とくに大阪地区は事業所組織の新陳代謝が激しいという意味ではけっして停滞していない。しかしそれが雇用の拡大や経済の成長に結びついていない点に問題があり、次年度はその原因について追究する。3.経済活性化めための社会的基盤としての社会関係資本について市民を対象とした社会調査「信頼と社会の活性化に関する調査」を実施して、関西地方における問題点の摘出を目指した。調査の実施が年度末にかかったため、詳細な分析結果は次年度にまとめる。4.各地の地域活性化策で注目される事例を訪問し、聞き取り資料をもとにそのモデル化を試みた。地方においては第1次・第2次・第3次などの産業の枠を超えて融合させる試みの重要性が高まっており、その方法論の一般化が待たれているが、次年度にはさらにそれらのモデル形成化を推進する予定である。5.活性化につながる人的資源の形成と大学の役割についての調査を計画した。実施は次年度早々におこなう予定である。
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