研究課題/領域番号 |
15330136
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
久保 ゆかり 東洋大学, 社会学部, 教授 (10195498)
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研究分担者 |
船津 衛 東洋大学, 社会学部, 教授 (90047184)
安藤 清志 東洋大学, 社会学部, 教授 (50125978)
北村 英哉 東洋大学, 社会学部, 教授 (70234284)
清水 直治 東洋大学, 文学部, 助教授 (80134774)
片山 美由紀 東洋大学, 社会学部, 教授 (50265229)
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キーワード | 感情 / 感情の社会的機能 / 感情の理解の発達 / ポジティブな感情 / ネガティブな感情 / 感情の社会性 / 感情の社会的表現 / 表情 |
研究概要 |
本研究では、感情は、自他および自他の関係調整にとって有用なシグナルを発するという社会的な機能を有すると捉え、そのような社会的機能そのもの(研究1)、およびその理解の発達(研究2)、さらに生活の諸領域での感情の志向性(研究3)について検討し、また同時平行で理論的検討をおこない、16年度には次のような成果を得た。 研究1では、生理測定に先立ち、決断の表情を取り上げ、フォールス・メモリーのパラダイムによる実験を行った。決断の表情は、仮説通り、不満、不快、怒りの表情と印象評定値が近いだけでなく、不満の表情と取り違えることが見られた。さらに印象評定値の分析から、ポジティブに見える決断とネガティブに見える決断のあることが見出された。また、罪悪感については、その説得効果に着目し、日本の雑誌に掲載される広告の中から罪悪感の喚起をテーマにしたものが、どのようなジャンルにどの程度の頻度で出現するかを分析した。その結果、欧米に比べて罪悪感広告の頻度は少なく予期的な罪悪感の喚起を示唆するものが多い傾向があった。研究2では、幼児期における感情の機能の理解について検討するため面接をし、実生活での感情の機能について尋ね、ポジティブな感情の機能については5歳児でも少なからず語れるが、ネガティブな感情の機能については6歳児であっても充分には語れないことを見出した。また、自閉症の子どもの事例における感情理解および表出の発達を検討し、その特徴について概観し示唆を得た。研究3では、1人ひとりのなかで生起する多様な感情について時系列的なデータを収集することを目的として、分析対象に適するホームページの収集を行った。またいくつかのホームページの分析を行い、1人のひとが継続して何らかの活動について書き続ける場合、活動内容そのものの記述が多く、感情記述が少ないことが明らかになった。なお、研究1〜3と同時並行して、内外の文献をサーベイし、自我と感情、感情とコミュニケーションとの関係に焦点を置いて理論的な検討をおこない、他者との関係における感情の社会的表現において、一般に、感情の抑制、隠蔽、拡散、変更というような「感情操作」がなされていること、また、それらがポジティブな感情、ネガティブな感情など、感情の内容によって異なることを見出した。
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