研究課題/領域番号 |
15350092
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
星野 勝義 千葉大学, 工学部, 助教授 (50192737)
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研究分担者 |
北村 孝司 千葉大学, 工学部, 教授 (20009541)
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キーワード | 空中窒素固定 / 酸化チタン / 有機 / 無機複合接合 / 有機 / 無機界面制御 / 酸素欠陥 / 導電性ポリマー / 陽極酸化 / 化学結合形成 |
研究概要 |
本研究は、陽極酸化法で形成した酸化チタンと導電性ポリマーを積層し、得られた接合に光照射を行うと、空気中の窒素が還元され、アンモニウム塩及びアンモニアとして固定化されることを内容とする。これまでは、酸化チタン及び導電性ポリマーの形成条件の検討から、システムの高性能化及び窒素固定反応の高効率化を目指したが、反応機構に関する知見が脆弱なため大きなブレイクスルーとはならなかった。 そこで本年度は基本に立ち返り、酸化チタン/導電性ポリマー界面を詳細に検討することとした。具体的には、これまでの実験結果から、窒素固定活性が高いと考えられる接合と、比較的低活性の接合を選択し、その電流-電圧特性及び容量-電圧特性から界面の状態を検討した。窒素固定活性が高い接合は、より低い陽極酸化電位(<10V)で酸化チタンを形成し、導電性ポリマーを積層することで得られるが、こうして得られた接合は、(経過)時間とともに界面接合特性が向上することが判明した。このことは、低陽極酸化電位で形成された酸化チタン表面には高密度の酸素欠陥サイトが存在し、それが徐々に(時間経過とともに)導電性ポリマーと化学結合を形成することを示している。一方、より高い陽極酸化電位(10V以上)で酸化チタンを形成し、導電性ポリマーを積層した接合は、低い窒素固定活性しか示さない。この接合は上述の高活性の接合とは異なり、界面特性は(経過時間に対して)不変であった。これは酸化チタン表面上の酸素欠陥密度が非常に低いことに起因する。以上の結果より、窒素固定活性を決める主要な因子の一つは、酸化チタン表面の酸素欠陥密度であり、この密度を上げることがシステム性能向上の指針であることが判明した。 従って次年度は、酸化チタンに還元処理を施す等の工夫により酸素欠陥密度を上げ、高性能システムを作り上げたい。
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