研究概要 |
本研究では,高速工具サーボで創成された大面積3次元微細計測基準面形状を機上で計測し,計測データを元に同じプローブで補正加工を行い,大面積3次元微細計測基準面形状の加工精度を向上させることを目的とする. 本年度では,まずこのようなナノ加工,計測を行えるナノ加工計測プローブの設計,試作を行った.プローブは加工具及び測定子の役割を果たすダイヤモンド工具,工具を高速に制御する円筒型PZT, PZTの動きを精密に検出する容量型変位センサ,測定力を検出するための力センサからなる.加工工具としての性能が損なわれないように,各部分の剛性設計を行った.また,設計に基づき,プローブの各要素を選定した.力センサは,PCB社製の小型力センサ((感度:DCモード分解能0.1mN, ACモード分解能0.01mN,剛性:4×10^8N/m,周波数応答:300kHz))を用いることにした.力センサのAC信号を読取るには,ロックインアンプを利用した.円筒型PZTは高剛性,高周波数応答のDr.Pickelmann社製のHPSt1000/25を用いた(変位量/剛性/周波数応答=25μm/3×10^8N/m/25kHz).力センサの信号を低ノイズプリアンプで増幅し,信号対ノイズ比をさらに高めることにした.なお,ダイヤモンド工具はアライドマテリアル社製軽量型NewDダイヤモンドバイトを使った.工具ホルダも軽量で剛性の高いものを同社に特注した.以上の各部品に合わせてジグを製作し,プローブの組立てを行った. 次に試作したプローブの評価実験を行った.周波数特性については,背分力方向において2.5kHzという高い固有振動数を持っていることがわかった.また,力センサの安定性も±0.01mNと目標値通りの値となっていることが確認された.実際に試料と工具を接触させ,測定力評価実験を行った結果,力センサが接触を判断するまでの試料への押し込み深さは5〜10nmであった.ただし,主分力方向の周波数特性は低い値を示し,その改善が次年度の課題となる.
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