研究課題/領域番号 |
15380013
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
根本 圭介 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 助教授 (40211461)
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研究分担者 |
後藤 雄佐 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (80122919)
山岸 徹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (50143409)
山岸 順子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60191219)
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キーワード | イネ / QTL / 分げつ / ヘテロシス |
研究概要 |
本計画は、イネの生理生態学的研究にゲノム学の手法を援用する試みの1つとして、ハイブリッドライスの生産性に関する諸特性を対象としたQTL解析を行おうとするものである。今年度は、ハイブリッドライスの示す雑種強勢は分げつ数に最も強く現れることを考慮し、強いヘテロシスを生じるインディカx熱帯ジャポニカの組み合わせを対象に、分げつ数のQTL解析を行った。IR36(インディカ)とG.Wangkal(熱帯ジャポニカ)の組み合わせによる組み換え自殖集団を用いて分げつ数のQTL解析を行ったところ、分げつ数のQTLが数個検出されたが、個々の作用は特定の節位・次位の分げつに限られていることがわかった。理論上、1次の分げつに関与する遺伝子と2次の分げつに関与する遺伝子が異なる場合、両者の間には、積の関係にある遺伝子間相互作用(multiplicative epistasis)が検出されることになる。このことより、従来より報告されてきた分げつ数QTLの間の相互作用(雑種強勢の機構の1つと考えられてきた)の多くは、こうした視点から説明できるものと考えられた。また、分げつ数のQTLと同定された染色体領域は、実際には、分げつ芽の休眠に関わる小さなQTLと、かたや出葉間隔に関わる小さなQTLの連鎖が見られる場合があった。分げつ休眠と出葉間隔もまた積の関係にある遺伝子間相互作用を示すことになる。このように、従来より雑種強勢の主要な機構と考えられてきた遺伝子間相互作用の実態は、遺伝子間のクロストークよりもむしろ形態レベルのインテグレーションに起因する可能性が高いものと判断された。
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