研究概要 |
1.属間雑種を利用したリンゴとナシの飽和連鎖地図の作成と有用遺伝子のマッピング(伴野分担) 胚培養を用いて育成したリンゴ‘ふじ‘とナシ‘大原紅'の対称雑種63個体を用い,解析したSSRマーカー,RAPDマーカー,アイソザイム遺伝子,各有用遺伝子,表現形質などをマッピングマーカーとして連鎖地図を作成した。その結果,‘ふじ‘では,1362.0cM,17連鎖群,198マーカーからなる連鎖地図が,‘大原紅'では1384.1cM,17連鎖群,241マーカーからなる飽和した連鎖地図がそれぞれ作成された。作成された‘ふじ‘と‘大原紅'の各連鎖群を比較した結果,両品種の各連鎖群において共優性のSSR遺伝子座やアイソザイム遺伝子座がほぼ同じ位置や距離に存在し,リンゴとナシのゲノムのシンテニーが高いことが示唆された。 2.ナシ及びリンゴ果実で発現するESTクローンの解析(伊藤分担) ‘おさ二十世紀',‘大原紅',‘ふじ'の3品種の幼果からm-RNAを単離し,作成したcDNAライブラリーから得られたESTクローン約190種類についてシークエンスを行い,相同性検索を行った。その結果,ナシ果実で発現するESTクローンはこれまでに報告されたリンゴ果実等で発現する遺伝子と極めて相同性が高く,1〜2塩基多型を示すものが多く認められた。 3.リンゴ品種‘ふじ'へのカラムナー形質の導入とマッピング(伴野分担) リンゴ品種‘ふじ'へカラムナー形質を導入するために,‘ふじ'とカラムナー品種‘メイポール'とを交雑して得られた84系統を用いて,カラムナー形質の座乗する第10連鎖群について属間雑種を利用して得られた‘ふじ'の第10連鎖群の情報を基にマッピングを行った。その結果,属間雑種を利用して作成された‘ふじ'の第10連鎖群と‘ふじ‘と‘メイポール'の交雑系統を利用して得られた‘ふじ'の第10連鎖群はほぼ同様で,‘メイポール'の第10連鎖群にはカラムナー遺伝子(Co)がマッピングされた。
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