研究概要 |
ブドウ'ピオーネ'(Vitis vinifera×V.labrusca)の雌ずいから、マニュピレータとマイクロキャピラリーを用いて花粉管誘導組織(TT)を摘出し、無機塩溶液(NaCL, MgCl_2)によってTT細胞外マトリックス(TT-ECM)をアポプラスト抽出した。この抽出物の内、NaCl抽出物の分子量5 kDa以上の画分には花粉管生長促進活性が認められた。しかし、'キャンベル・アーリー'(V.labruscana)の雌ずいからは促進活性は認められなかった。'ピオーネ'のNaCl抽出物をゲルろ過HPLC分析した結果、40 kDa画分と13 kDa画分に多くの物質が存在し、40 kDa画分の物質には花粉発芽促進活性がみられた。この画分の物質は、260nm,280nm付近で極大吸収を示さず、核酸やタンパクではないことが推定された。また、加水分解後のGC分析で、D-グルコースのみが検出され、さらに、メチル化分析の結果、3置換グルコース、4置換グルコース、6置換グルコースが5.6:2.0:1.0の比率で検出された。したがって、'ピオーネ'雌ずいのTT細胞間隙には、1-3結合グルコースポリマー、1-4結合グルコースポリマー、1-6結合グルコースポリマーをその比率で含むD-グルコース多糖物質が含まれており、それが花粉管生長に促進的に機能すると思われる。 一方、無核化のためにGA処理した'デラウェア'(V.labruscana)の雌ずいでは、受粉後16〜24時間後に花粉管伸長が停止することが判明したが、TTの発達及びTT-ECMの存在には、無処理の雌ずいと比較して差がなかった。TT-ECMの機能性について追求する必要がある。
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