研究概要 |
本研究の結果、ブドウの雌ずい中のTT-ECMには、花粉管の生長を制御する物質が含まれていることが明らかになった。その中には、花粉管の生長を促進する成分(PGP)も存在し、それは、むしろ花粉管生長が不良である4倍体品種において検出されたことは、非常に興味深いことである。本研究では、ブドウ属植物では世界で初めて発見されたこのPGPの化学的特性を明らかにするために、物質の精製と単離、および2,3の解析を行った。その結果、ピオーネのNaClによるアポプラスト抽出物に含まれるPGPが、主としてD-glucoseから構成される多糖であることを見出した。この物質が雌ずい内のどの部分で、どのステージで生産されているのか、また、どのような栽培環境でその生産が高まるかなど、実際の結実安定に貢献するための基礎的研究が残されている。 また、デラウエアの無核果生産のために実施されているGA処理によって、受粉後の花粉管生長は著しい影響を受け、受粉後8〜24時間に花粉管の先端は方向性を失ってコイル化をすると言う、極めて特異な現象が発見された。それを引き起こしているTT-ECM成分の特定は、本研究では完了できなかったが、今後の研究の進展によってそれが明らかになる可能性は高い。それによって、他のブドウ品種に対する無核化技術の開発に大きな貢献を与える可能性がある。
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