研究分担者 |
稲本 勝彦 (独)農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター, 講師 (50223235)
土井 元章 信州大学, 農学部, 教授 (40164090)
古川 一 大阪府立大学, 大学院・農学生命科学研究科, 講師 (40240957)
長谷川 博 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (00090457)
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研究概要 |
1.シュッコンカスミソウの悪臭成分の代謝経路を明らかにするため,合成に関わる酵素の解析と前駆物質に対する反応を見た.3-メチル酪酸の前駆物質であるL-ロイシンを処理すると,3-メチル酪酸発生量は3倍に上昇した.α-ケト酸をアルデヒドに転換するpyruvate decarboxylase (PDC)の活性は,基質としてピルビン酸ナトリウムを与えた場合蕾段階で高かったが,開花小花で急激にトレースレベルにまで低下した.3-メチル酪酸を合成する経路上にあるpyruvate dehydrogenase (PDH)活性は,開花小花で最高値を記録した.また,イソバレリル-CoAから3-メチル酪酸の生成反応を触媒すacyl-CoA hydrase (ACH)についても,開花に伴って徐々に増大した. 2.ベニバナカスミソウの匂いの強弱による選抜を試みたところ,選抜4代目でほぼ目的が達成できることがわかった. 3.花の匂いに関わるAFLPマーカー検出の可能性が示された. 4.PDC遺伝子のクローニングを試みた.2組のディジェネレートプライマー,2組のRT-PCRプライマー,5'-Race法および3'-Race法によって遺伝子の約86%を単離することができた.この情報に基づき設計したプライマーを用い,RT-PCRにより花蕾の発達段階におけるPDC遺伝子の発現を見た.発現量は花蕾の発達段階によって変化したものの,酵素活性あるいは匂いの強弱と強い関連は認められなかった.葉におけるPDC遺伝子の発現は花よりも低かった. 5.アルコールを与えることにより3-メチル酪酸をエステル化して悪臭成分を取り除く試みを行った.イソアミルアルコール,芳香族アルコール,すなわち,ベンジルアルコールと2-フェニルエチルアルコールを処理した場合,メチル酪酸の発散量は57〜39%にまで減少した.
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