研究課題/領域番号 |
15380077
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
永井 和夫 中部大学, 応用生物学部, 教授 (00011974)
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研究分担者 |
禹 済泰 中部大学, 応用生物学部, 助教授 (20272693)
大西 素子 中部大学, 応用生物学部, 助教授 (00312653)
南 基泰 中部大学, 応用生物学部, 講師 (90340207)
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キーワード | 破骨細胞 / 骨吸収抑制剤 / 骨粗鬆症 / アポトーシス / タンパク質合成 / リベロマイシン / 微生物代謝産物 / tRNA |
研究概要 |
申請者らは、臨床応用が可能な骨吸収抑制剤を得る目的で、破骨細胞の分化及び成熟破骨細胞の機能発現過程に作用する活性物質を微生物代謝産物中から探索し、デストラクシンとリベロマイシンが破骨細胞の分化及び融合には関与せず活性化破骨細胞に作用し、骨吸収機能を阻害することを見出した。また、リベロマイシンによる骨吸収阻害は活性化破骨細胞のアポトーシス誘導に由来することを明らかにした。 本年度は、リベロマイシンの細胞レベルでの活性化破骨細胞に対する選択的作用のメカニズムと標的分子の解析を行なうとともに、卵巣摘出骨吸収促進モデル動物と低カルシウム食モデルラットでの骨吸収抑制効果を検討することにより骨吸収抑制剤として開発の可能性を見極めることにした。酵母においてリベロマイシンはイソロイシルtRNA合成酵素を阻害することが報告されているが、破骨細胞においてもリベロマイシンは放射能標識イソロイシンのタンパク質への取り込みを選択的に阻害した。この結果は、リベロマイシンがイソロイシルtRNA合成酵素活性を阻害し破骨細胞の細胞死を誘導することを示唆する。更に酸性環境ではリベロマイシンの細胞死誘導効果が認められない細胞、破骨細胞の前駆細胞においても、放射ラベルイソロイシルのタンパク質への取り込みを阻害し、細胞のアポトーシス誘導が促進されることを明らかにした。この結果から、リベロマイシンの活性化破骨細胞に対する選択性は、活性化破骨細胞がつくる酸性環境に由来すると考えられる。また骨粗鬆症モデル動物試験において、リベロマイシン(1-4mg/Kgで1日2回、1ヶ月間ip投与)は卵巣摘出による骨吸収促進による骨密度の低下を抑制した。更に、低カルシウム食モデルラットにおいて、長管骨の海面骨における破骨細胞の増加を著しく抑制した。今後動物実験による毒性について詳細な検討を行い、骨吸収抑制の有効容量との差を検討する必要があると思われる。
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