研究課題/領域番号 |
15380122
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
林産科学・木質工学
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
桑原 正章 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 教授 (40035978)
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研究分担者 |
栗本 康司 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 助教授 (60279510)
山内 秀文 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 講師 (90279513)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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キーワード | リグニン分解酵素 / 担子菌 / ラッカーゼ / マンガンペルオキシダーゼ / ラジカル重合 / ファイバーボード / ニクウスバタケ / 引張り強度 |
研究概要 |
木粉の処理に用いうる酵素を生産する担子菌の選抜を試みた。先ず、スギ木粉に生育する担子菌のスクリーニングを行い、ウスバタケ(Coliolus consors)、ハタケチャダイゴケ(Cyatus stercoreus)などの菌株が選抜された。また、4-クロロレゾルシノールの分解を指標として担子菌を検索した結果、ヒラタケ(Pleurotus ostreatus)、ウスバタケなどを選抜した。特に、ウスバタケは高いラッカーゼ生産能を示した。本酵素を精製し2つの主要なアイソザイムが生産されることを認めた。 得られたLac標品の作用により2,6-ジメトキシフェノール(DMP)が重合し、種々の溶媒に不溶性のポリマーが得られたが、オリゴマーにとどまっていた。次いで、本酵素標品および市販のLacを用いてアルカリリグニンおよびリグノスルホン酸の再重合を試みた。特にアルカリリグニンからはさらに重合度の増加した画分が得られた。この反応においてはDMPなどが反応のメディエーターとして作用し反応を促進することを見出した。 さらに、スギ辺材をリファイナー処理した調製した繊維を部分精製した市販ラッカーゼで処理し、反応後手漉きにより作成したシートを熱圧処理した。得られたシートは非処理繊維からのシートに比べて引張り強度が増加すること、また、ラッカーゼメディエーター(ABTSおよびHOBt)により強度の向上が認められた。一方、ラマン分光分析の結果はラジカル形成によると考えられるシグナルの生成を示した。また、ESR解析によってもラジカルの生成が認められた。このように、Lacの処理により木粉中に存在するリグニン間の結合が形成され、ラジカル重合により引張り強度が向上することが示され、新しい木質系素材の生産に利用され得ることが示唆された。
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