研究課題/領域番号 |
15390190
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
二塚 信 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (80040195)
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研究分担者 |
庄野 昌博 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (80346981)
永野 惠 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 講師 (10136723)
北野 隆雄 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 講師 (50214804)
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キーワード | メチル水銀 / 健康影響 / 老化過程 / 精神不安 / 共分散構造分析 |
研究概要 |
水俣市に隣接するT町においてメチル水銀汚染地域住民の後影響について継続して調査研究を行っている。これまでの研究で、汚染地域住民は非汚染地域住民に比べてさまざまな自覚症状を抱えていることを確認している。また、これらの健康上の問題に対して、高頻度の通院や往診などで対処しているものの、健康に対する不安は解消されていないと考えられた。本研究では、自覚症状や高頻度の受療行動がメチル水銀汚染地域住民の精神不安にまで及んでいないか、また、住民の精神状態を規定している要因として身体的要因以外のほか家族構成やソーシャルネットワークなどの社会的な要因や水俣病発生を原因とするさまざまな体験などが考えられるのではないかとの仮説のもと精神不安とその要因に関する調査を実施した。 ここではメチル水銀汚染地区住民の精神不安の構造や性状を明らかにし、メチル水銀汚染地区住民の精神不安の構造をモデル化することを試みた。 その結果、メチル水銀汚染地域住民の精神不安度は高く、それを形成している最も主要な因子は「抑うつ」と「社会的無能力・不適応」であった。これらの精神不安は、身体症状が悪いほど高くなる傾向があり、また水俣病問題に対して積極的に関与していった経験があるものほど不安は低下する傾向があった。これは、水俣病問題に対して積極的に行動することにより同じ目的をもち、そして同じ苦しみをもった仲間が形成されたことによると考えられた。
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