研究課題/領域番号 |
15390190
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
二塚 信 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (80040195)
|
研究分担者 |
北野 隆雄 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 講師 (50214804)
永野 惠 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 講師 (10136723)
庄野 昌博 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (80346981)
|
キーワード | メチル水銀中毒 / 水俣病 / 健康影響 / 老化過程 / 生活習慣病 / 循環器疾患 |
研究概要 |
環境庁事務次官通知および化学物質の安全性に関する国際プログラムによれば、水俣病とは「魚介類に蓄積された有機水銀を経口摂取することにより起こる神経疾患」とされているが、メチル水銀の標的臓器である神経系以外の影響について、加齢に伴う影響も加わり、危惧する声がある。私どもはメチル水銀中毒による神経症状が老化過程に重要な影響を及ぼすとともに、水俣病患者は歴年齢に比し、生理学的老化が進行していることを示唆する所見を得た。 水俣病発生が確認されて既に48年が経過し、水俣病患者も、当時からこの地域に居住している住民も高齢期を迎えている。これら高齢期を迎えているメチル水銀汚染地域の曝露人口の老化過程とその健康影響、特に生活習慣病を中心とする疾病構造に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 研究対象は私どもが昭和59年以来20年間フォローアップを実施している水俣市に隣接した津奈木町の40歳以上の全住民(約3200名)のうち、調査協力の確認の得られた1017名について、老人保健法による基本健康診査の検査項目に加えた上乗せ項目に関する健康調査を実施した。比較対照として、メチル水銀に汚染されていない天草郡の一漁村地域について、基本健康診査の検査成績を入手し、性・年齢をマッチングした健康診査所見を比較検討した。 その結果、BMI、血圧、HDL-コレステロール、トリグリセライド、総コレステロール、空腹時血糖並びにHbA, C等の測定値の平均値及び異常値の頻度は両地区間の差はみられず、これら循環器系及び糖代謝系を中心とする生活習慣病には、今日、メチル水銀の影響はみられないことが示唆された。
|