研究概要 |
1.IFN併用化学療法の作用機序の検討 (1)肝細胞癌株(PLC/PRF5、HuH7、HLE、HEPG2)4種をもちいて、IFN-α、IFN-βのそれぞれにおける抗腫瘍効果について、腫瘍細胞増殖抑制試験とIFN→IFN receptor→STAT1,2,3-phosphoSTAT1,2,3といった細胞内シグナル伝達物質の発現の多寡や各stepの発現遺伝子について検討した。その結果、IFNの抗腫瘍効果はIFN受容体を介したシグナルとSTAT-phospho STATの活性化の多寡との相関関係が明らかになった。また、これら直接的抗腫瘍効果については、IFN-βの方がIFN-αより高いことが示された。 (2)(1)と同じ肝細胞癌株を用いて、IFN-α、IFN-βのそれぞれについて、3種類の抗ガン剤(5FU、CDDP、ADR)との併用効果の差異について、腫瘍細胞増殖抑制試験を用いて検討した。その結果、すべての抗ガン剤に対して相加的併用効果を、さらに5FUについては、相乗的併用効果を認めた。今後の臨床症例での検討が期待される。 2.難治性進行肝細胞癌症例に対するIFN併用化学療法の効果予測の検討 本年度も、治療法の選択肢が無くなった進行症例(脈管侵襲陽性症例)に対し、積極的にIFN併用化学療法を施行した。これらの症例において、preliminaryではあるが、各種臨床因子(AFP、PIVKA-II、OKUDA Score、CLIP Score、IFN受容体の発現)について、多変量解析を施行した。その結果、IFN併用化学療法の治療効果については、IFN受容体非発現症例においては、期待できないことが統計学的に明らかになった。
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