研究課題/領域番号 |
15401036
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都外国語大学 |
研究代表者 |
佐々木 伸一 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (30175377)
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研究分担者 |
黄 強 中部大学, 国際関係学部, 教授 (90329673)
池上 良正 駒澤大学, 文学部, 教授 (60122925)
渡邊 欣雄 東京都立大学, 人文学部, 教授 (90103209)
志賀 市子 茨城キリスト教大学, 文学部, 助教授 (20295629)
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キーワード | 国際研究者交流 / 中国 / 民間信仰 / 宗教 / 市場経済 / 文化人類学 |
研究概要 |
本年度は、SARS問題などのため、中国における調査活動についての懸念があったが、年度計画に定めたおおよその目的は達成できたといえよう。 1、研究会においては、市場経済ならびに宗教という概念について、その中国的ありかたを再考しつつ、新たな理論構築を図らねばならないことが確認された。 2、調査研究の成果としては、まず、江西省興国では全国に風水師を派遣して経済的果実を得るとともに、風水を村おこしのために活用していることが判明した。 3、江西省や福建省では、現在、宗族の復興が図られているが、祠堂の再建などから判断されるその程度は、地域の経済状況と密接に関連することが明らかになった。 4、広東省では、葬送関連事業の市場経済化が、地方政府の殯葬改革すなわち、いうならば政府自体がそこから利潤を得ようとする動向につながること、ならびに、市場経済化による地域経済の発展が、宗教儀礼の復興に直結する状況を見出すことができた。 5、浙江省などの調査を通じて、宗教的活動の復活が、(1)正統宗教の形をとる、(2)伝統的文物として装う、(3)海外とのつながりを強調する、(4)観光地とする、以上のいずれかまたは幾つかを用いることで行なわれることが明らかになった。 6、これまでの知見に、重慶、貴州での調査を加えることにより、中国の東南地域では、現在、どこにおいても民間信仰に基づく活動がかなりの規模で実施されていることが確認できた。また、いわゆるシャーマンの活動も、ほぼこのすべての地域で見られ、その理由として、病気治しに対する人びとの欲求と、そこからの経済的利益の獲得が、その再生産につながるという結論を得た。また、この地域の長江流域には、この世の不順について死者が関係するという考えから、死者の意向を確かめるシャーマン儀礼が満遍なく存在することが明らかになった。
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