研究概要 |
Sakamoto-Yoshida(1996)によるウィナー汎関数の展開公式を応用して,縮小推定量を中心とする信頼領域や予測領域の被服確率に対する展開公式を求めた.この結果から,通常の信頼領域や予測領域と縮小推定量によるものの比較が可能となり,点推定と同様に,次元が3以上のときは通常のものが許容的でないことが証明できた.これらの結果は,Sakamoto-Takada-Yoshida(2004)に出版された. また,混合性を持つマルコフ過程の汎関数に対する展開公式を導いた.この結果は,漸近正規性を持つ様々な統計量に応用でき,しかも,飛躍を持つ拡散過程や非線形時系列を含む多くの統計モデルに対応するため,今後幾多の応用が可能であると期待される.その応用として,M推定量の分布の漸近展開を一般的な統計モデルに対して求めた.これらの結果は,Sakamoto-Yoshida(2004)において発表された.これらの結果は,拡散過程に応用できるため,真のモデルを含まない統計モデルを用いた場合のM推定量の漸近展開,特に,拡散モデルに対するそれを求め,現在投稿中である. 上記の結果は,拡散過程などの多くの確率過程に対する統計的推測において基本となる道具を提供するものであり,特に,M推定量の漸近展開は数理ファイナンスにおける統計的推測にとって基礎となる結果を与えた.
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