研究分担者 |
原田 俊英 広島国際大学, 医療福祉学部, 教授 (60181020)
小澤 由嗣 県立広島大学, 保健福祉学部, 講師 (60280210)
今泉 敏 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (80122018)
宮口 英樹 広島大学, 医学部, 教授 (00290552)
吉田 彰 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (30136113)
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研究概要 |
脳血管障害(CVD)による高次脳機能障害や片麻痺などの運動障害は発症後数年を経過した慢性期であっても,積極的なリハビリテーションの介入により,臨床的な改善が認められる.しかし,慢性期の脳機能障害が回復されていく機序がいまだ明らかになっていないために,慢性期リハビリテーションは十分な評価がなされていない.我々は脳機能障害の回復過程の機序を臨床的に検討し治療への応用を試みた.今回研究成果を総括しその一端は平成17年5月の第46回日本神経学会総会,11月の第6回広島保健福祉学会において発表した.演題名は各々「脳血管障害慢性期の脳波周波数帯域別マッピングの経過と臨床像の比較検討」「脳血管障害慢性期における脳機能回復の検証」である.その要旨は以下のとおりである.インフォームドコンセントを得たCVD慢性期症例で脳波と脳循環動態を検索し臨床経過との関係を検討した.その内複数回の脳波を検討したのは28例(初回平均年齢62歳)で,平均2.3年の経過中に平均3.4回測定した.脳波の含有率マッピングでは測定初期には主に徐波成分が出現し全例で画像検査による病巣側と一致したが,その分布は広範囲で健常側にも及んだ.経過とともに健常側の除波成分は減少傾向を示し,α帯の出現を認め,脳波の改善と社会復帰との関連が示唆された.脳循環動態はNIRS法で光トポグラフィ(Hitachi)で17例(平均年齢59歳)で検討した.高次機能課題には記憶課題を用い両側頭・頭頂部で計測した.記憶課題は改変三宅式記銘力検査と物品名の呼称・想起とした.脳循環動態ではtotal-Hbレベルは記銘力検査の有関係課題で増加した.語想起課題では呼称でtotal-Hbレベルは増加した.以上,CVD慢性期でも脳波は改善し,脳循環動態は課題の種類で効果に差があったことから,CVD症例の個々応じた積極的な機能回復プログラムが必要である.
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