研究概要 |
血管系への影響については,ヒトプラスミノーゲンアクチベーター(PA)産生細胞の培養実験でDPAの添加実験を行なう。子宮由来の細胞は宮崎大学医学部丸山教授より提供された。DPAはHPLC法で0.25〜10μg/ml単位で測定できた。一般に納豆には46〜72mg/100gのDPAが含まれている。 DPAは最終濃度5×10^<-3>mol/lでヒトのATPによる血小板凝集の反応を強く抑制すること,またトロンビンのフィブリノーゲンからフィブリンへの反応を強く抑制することが分かった。また,5×10^<-3>mol/lでトロンボエラストグラフィーで見られる血液凝固反応を完全に阻止することも分かった。一方,DPAの誘導体は10mMでもこのような強い効果は見られなかった。ヒトでのプロトロンビン時間,活性部分トロンボプラスチン時間,およびユーグロブリン溶解時間に変化はなかった。 抗菌活性を大腸菌を用いた希釈法でみた場合,DPAとその誘導体であるquinolic acid(2,3-pyridine dicarboxylic acid), 2,4-pyridine dicarboxylic acid, isoinchlorendic acid(2,5-pyridine dicarboxylic acid), 3,5-pyridine dicarboxylic acidの抗菌活性を比較した結果,抗菌活性はDPA独特のものであることが分かった。また,この抗菌活性に対する各種金属イオンの影響を調べた結果,その活性は2価イオンであるCa^<++>,Fe^<++>,Co^<++>,Zn^<++>の添加によって強く阻害されることが分かった。
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