研究概要 |
臨床的な手法による算数のカリキュラムの開発に関する研究では,子どもの学習過程をもとにしたカリキュラム開発を実現することが目的である。そのためにの具体的な課題として次の3つの点を明らかにすることを目的とした。 1 自然数の除法の場面から小数の除法の場面への発展において鍵となる比例的な推論の発展の過程を子どもの学習過程を観察分析することを通して明らかにすること 2 自然数の除法から整数の除法へ至る過程でのカリキュラムを提案すること 3 授業過程,そして子どもへのインタビューを通しながら,学校現場でのカリキュラム開発をする手法を開発すること,特に,データ対話型の領域密着型の理論構成の手法を用いる。 本年度(平成16年度)は,1,3を中心に実施した。 1について 6年生,4年生の学習過程についてのデータの収集を実施した。6年は中学校への接続を念頭においたデータ収集であり,4年は6年生への接続を考慮したデータ収集である。 それぞれの学年において比例的な推論を強調する5時間の授業を実施し,そこで子ども5人の授業中の学習についてのデータの収集を実施した。 3について 臨床的手法の理論的背景として,教授理論と実践の関連を強調したデザイン・リサーチに関する研究のレビューをし,その方法論の理解をすすめるとともに,6年生,4年生のデータ収集をこの考えに基づいて実施した。また,分析のための具体的な枠組みとして,数学的対象についての検討もすすめた。
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